かみかみおれんじ

子育ても息抜きもたいせつです

 私的オーズまとめ・その4

今回「まとめ」を書くにあたって、この公式読本はかなり参考になりました。
でも、武部P・靖子にゃん対談はもっともっと長くてもいいと思うの…。(希望:10ページ位) 欲を言えばスタイリストさんのインタビューとかも欲しかったなあ。

仮面ライダーオーズ / OOO 公式読本 ?OOO INFINITY? (グライドメディアムック)

仮面ライダーオーズ / OOO 公式読本 ?OOO INFINITY? (グライドメディアムック)

映司とアンク―ひとつにならなくてもいいよ

タジャドルコンボソングの歌詞に、次のようなくだりがあります。
“time judged all 運命 クロスする「今」”
わたし、映司とアンクの運命が本当の意味で「クロスした」のは、最終回が最初であり最後だったのではないかとずっと思っていたのですが、武部Pみずから公式読本で「(映司とアンクは)最後まで相容れない」「相棒・友情ものじゃない」という発言をされていたのでちょっとホッとしました。あながち読み間違いじゃなかったんだね…。
それにしても、この読本の武部Pのお言葉「お互いに違うんだよと思いながら認め合うほうが面白い」ってくだり、すんごくツボです。なんてったって、映司とアンクと言えば、あのどこか歪な関係性あってのものですから!

確か最終回後、ネットのどこかで「映司は最後までアンクに上から目線で不快」っつー感想を読んだんだけど、自分はそういう風に不快に思ったことは無かったので非常にびっくりいたしました。だって、映司にとってアンクは飽くまで「人間じゃないイキモノ」だから、扱いに差があっても仕方ないんじゃないかと。(むしろそこにもゆる)
謂わば、言うことを中々きかない猛獣みたいなもんだからねー、アンクちゃん(笑) 実際、わんこを飼う時も、飼い主と犬とどっちが立場が上かを態度で示さないととんでもないことになるしね。そんなもんでしょ、われわれ「人間」の立場としたら。まあ、「人間」に対してはあそこまで仏様のような映司くんが、「人間じゃない」アンクに対してのみあーゆー態度ってのがイイんだ!ってことで。普段ヒトには見せられない素(?)が図らずも出てしまっている所が、なんとも歪で堪らないものがありました。
歪といえば、映司くん自身もそうですけどね。映司くんは、例の過去によってより「自分に鈍感・他人に敏感」な人になっちゃってるんだろうけど、北村回を見るにそれ以前からも「博愛の人」だったんだろうなあ。個人的には、映司はよしながふみの「愛すべき娘たち」の登場人物・若林莢子をホーフツとさせるものがあるんですけど。(恋愛下手って点からも)

愛すべき娘たち (Jets comics)

愛すべき娘たち (Jets comics)

若林莢子は誰にでも天使のように優しく、その一方、誰か特定の“ひとり”を恋愛対象として愛することが出来ない人物として描かれています。作者は「人を好きになる能力がない」と彼女を評していますが、ある意味映司もそうだったんじゃないかな、と。そんな映司が、四六時中誰かとがっぷり四つに組むって経験は(たとえ対象が人間ではないとしても)相当なモノだったんじゃないでしょうか。

それにしても、映司とアンクがここまで相容れない存在*1として描かれたのは本当に意外で、考えさせられることでした。かくいう自分も、オーズ放映開始直後 「アンクとの関係も、じょじょにアンクがほだされていく…という黄金のパターンになりそうですが」 などとほざいていた位だし(※1年前の感想参照)、いやあ、ホント決めつけって良くないですね!おそらく、オーズの前作「W」がバディものだったから、刷り込みもあったのかもしれないけれども。
「W」といえば、主人公とその相棒は「二人で一人の仮面ライダー」を自称していたわけですが、自分はそのフレーズに代表されるある種の自己完結っぷりが実はあまり好みではありません。「W」と「オーズ」を比較したいわけではありませんが、主人公とその相棒?ひとつとっても対照的で、興味深いです。Wの二人は「二人で一人」なのでラストはあのような結末になったのだろうけど、オーズのふたりはそもそもひとつになりえないふたりなのであって。
だから、映司とアンクの結末についてあのような、分かたれた形に落ち着いたのは至極納得出来るのです。ひとつになりえないふたりが、手を伸ばしたり伸ばさなかったり、なにがしかを受け取ったり受け取らなかったり、もがいたりぶつかったりする姿が、いいんです。
損得づくで仕方なく一緒にいて、やがてその存在が当たり前になって。結局、彼らの場合、冒頭にも述べた通り感情が損得を凌駕したのは最終回が最初で最後だったのだと思いますが、そんな彼らでもラストで、もう利用するだのしないだの関係ないにも関わらずそれでも“ふたり”でいるシーンが見られます。ぶっちゃけ、あの漂う腕アンクちゃんは脚本では描写がないという話なので*2、どこまで脚本家が意図していたのかは図りかねますが(笑)、それでも、そんなひとつになりえないけどふたりでいる、友達でも相棒でもありえない、そんな“歪なふたり”がわたしは大好きです。

別の未来の可能性

最終回後の武部Pや靖子にゃんのインタビュー関係で、相当驚いたのは「アンクがラスボスの可能性があった」「映司が皆を救って死ぬ可能性があった」のくだりでした。
その、アンクラスボス化を阻止したのは、りょんくんの「アンク・愛され怪人プロジェクト」にも原因の一端があると自分は思ってます。(むろんそれだけが原因じゃないと思うけどね)
つまり、アンクの「デレ」の部分を増幅させていったのがりょんくんで、その結果、アンクは視聴者の人気を思いの外集める結果になったのだろうかと。その辺製作者サイドはあまり意図していなかったんだろうなあ。それどころか武部P、「アンクを死なせないで」というお願いメールをよく頂いたというエピソードに対する反応が「アンク消滅のネタふりが足りなかったのかなぁ」って…。あんた、鬼やwww
そんな武部Pを尻目に、靖子にゃんは映司を殺す気マンマンだったみたいだしさー。龍騎でトラウマになった人も多かろうに、またやる気持ちはあったんだね…(苦笑) 映司死亡とアンクラスボス、そのお蔵入り案二つが同時に起こる展開になったかどうかはわからないけど、本当にそうならずに良かったと安堵しています。もしアンクラスボス&映司死亡ラスト(ある意味心中)なんて実現してたら、平成ライダー一救いようのないラストになったかもね…。それを考えると現行ラストは、すごくハッピーなんじゃないかと。
まあ、まだ冬映画があるという意味で、自分の中では最終的な結論はまだ出せないのですが(笑) まさかおまけのサービス映画でテレビの結論をひっくり返すことも無いと思うので、12月まで粛々と待とうかと思います。…信じてるよ、武部P&靖子にゃん!(棒読み)

*1:最終回後の武部Pのインタビューで、何度このフレーズを目にしたことか…w

*2:キャラクターブック2参照