かみかみおれんじ

子育ても息抜きもたいせつです

 タンゴ −TANGO−・11/20マチネ

今更だけど面白かった、です!

タンゴ −TANGO−

作:スワボミール・ムロジェック
翻訳:米川和夫/工藤幸雄
演出:長塚圭史
出演:森山未來奥村佳恵吉田鋼太郎秋山菜津子
片桐はいり辻萬長橋本さとし

Bunkamura シアターコクーン S席N列上手

ちらとネット上で評判を目にする限りでは「難解な作品」という印象を受けたので、果たして自分に理解出来るかどうか、正直ガクブルしながらシアターコクーンに向かいました。

でも、実際に観てみると意外(?)なことに、すっと作品の中に入ってゆけて逆にびっくり。個人的に、未來さんのストプレの中では婚礼よりネジより変身より断然好みかも。なんといっても、この舞台は全体的にビジュアルが良くって眼福ってことに尽きる!衣装もシンプルなのにスタイリッシュでカッコイイし、生活感のない透明なセットが美しいしー!…すみません、とことんミーハーな感想で。
まー、確かに長台詞多いし、おまけに語ってることはリクツっぽいし、演出家は何故か舞台上にいるし(笑)とっつき辛い作品だとは思います。自分も、アルトゥルのリクツには引きずられまいと、耳八分くらいの姿勢で台詞を聞いていたけれどもそれでもアタマが重くなったもの。やっぱり、人間ってコトバが発せられていると耳を傾けずにはいられないイキモノなのね…。

しかしながら、リクツっぽくはあるけれどもアルトゥルのコトバには感情とのムジュンがなく、ある意味凄くわかりやすかったというか。結局の所、もてる限りの理論を尽くしているように見えるけれども、彼が言いたかったことは全くシンプルなことで、その魂の叫びが痛々しくって。それだけに彼のあっけない最期にはちょっとホロリときました。
「アラが好きだ、自分と一緒にいて自分だけを見て欲しい」「お母さん、どこの馬の骨とも知れない男と寝るのは止めて」「お父さん、一家の主としてもっとしっかりして」…いたって単純な願いをあそこまで捻じ曲げて表現してしまう、厨二病的ぼっちゃんのアルトゥルがいとおしいです。

あと、なんでも現代日本をベースに考えるのはどうかと思うけれども、このアルトゥル親子は日本でいうと団塊の世代団塊ジュニアにあたるのかなー、とぼんやりと思いながら観ていたのですが、まー、そのものズバリなコラムが公式パンフレットに寄稿されてますね、あはは。「あらかじめ失われた子供たち」と言ったのは岡崎京子さんだったでしょうか、そんな言葉がふと思い浮かびました。

なんだかまとまらない文章でしたが、今回はコレ一回こっきりの観劇だったのでこの辺で。実のところ、もっとチケットとっておけば良かった…とも思ったのですが、夏のスケート行脚でサイフのライフがゼロに近かったので仕方ありませんね〜(汗) 映像化の際には、是非入手してもう一回堪能しようかと思います。