かみかみおれんじ

子育ても息抜きもたいせつです

 秋の堺雅人祭り第二弾・「蛮幽鬼」 10/17マチネ&ソワレ

昨日、観てきました。鈍行疲れがまだ取れませぬ。

Inouekabuki Shochiku-mix 「蛮幽鬼
http://banyuki.com/

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:上川隆也稲森いずみ早乙女太一 
橋本じゅん/高田聖子/粟根まこと山内圭哉/山本 亨/千葉哲也堺雅人 他
新橋演舞場 1階2列センター&1階12列センター

面白かったんです。確かに、面白かったんです。
でも、それ以上にこの作品に対してスッキリしないものが、自分の中に残ってしまいました。(ネジで鬱屈したキモチを晴らすつもりだったのにー!w) 上手く自分の中でも思考が固まっていないのですが、モヤモヤしたままなのはキモチワルイのでここで吐かせてもらいます。


※以下、超ネタバレにつき注意!





一言でいうと、「勿体無い」作品だったと思います。
役者さんは皆、凄く役とマッチしていたと思うんですよ。上川さんの板の上でのゆるぎなさ、堺さんのミステリアススマイル全開っぷり、早乙女くんの華麗なる殺陣、稲森さんの楚々とした美しさ等等、本当に素晴らしかった。劇団員の皆さん*1も今回は割りといい役柄だったし。
で・も! なんというか、「もっていかれる」感覚が無かったんですよ、今回は。パズルの各ピースはバッチリ揃っている筈なのに、それ以上でも以下でもないというか…。完成度で言えば「朧」に敵わないし、パワー&感動度で言えば「SHIROH」に敵わないし、ボロ泣き度で言えば「IZO」に敵わないし。

特に、ひっかかったのは堺さん演じる「サジ」の描き方ですね。サジは、同属からも「ローランの悪魔」として恐れ憎まれているという設定だけど、そこんとこもーちょっと深い描写が欲しかった。サジのそういう境遇といい、全ての行為の理由といい、台詞で説明しすぎだと思います。上川さん演じる土門とW主役というならば、サジの狂気にも土門と同じくらいもっともらしい理由(の描写)が必要になるのでは。国と一族に裏切られたからって、だから?サジの悪魔的なチカラが恐れられたからって、だから? というか。刀衣がサジと同族だという設定が折角あるんだから、そこんとこで上手く絡ませることが出来たと思うんだけどなー。
確かに、ニヤニヤ微笑みを浮かべながら殺人を犯すマシーンのような人間・サジというキャラクター自体は、面白いと思いますよ。けど、彼は土門に感化されて人間らしくなっていくわけでもなし*2、「国=公」ひいては「人間=個」に愛されなかった一族の悲哀(暗黒面)を一心に背負ったキャラクターとして描かれているわけでもなし、設定が上滑りしているような気がしてなりません。

あーとーはー。ペナンを連れた土門の脱獄のくだりがあまりにもご都合主義なのが気になったりとか。「果拿の国」「鳳来国」「ハマン国」の描写*3に説得力が無いとか。信仰と人(と国)の関係性だったら「SHIROH」の方が上手く描けていた*4んじゃないかとか。

そりゃ自分だって、こんな小姑のようなアレは嫌なんだよー!でも、気になりだすと止まらなくなってしまって、ソワレ(2回目)観た後でもそのモヤモヤは晴れませんでした…。まだ観る機会はあるので、自分で脳内完結するしかないんでしょうかねえ。それとも、敢えてそういうトコロに触れないように楽しむのが“粋”ってモンなんでしょうかね。とんだ野暮天だぁ、オイラはぁ!






…それでも、この作品自体が好きなことには変わりはありません。なんてったって、上川さんでいのうえ歌舞伎が観たい!という願いが叶った作品なんだし。最近気になる俳優・堺さんが出演されるということですんごく楽しみにしてて、それも叶えられたんだし。
それなのに、どうしてなんだろう〜なんでなんだろう〜???? 考えすぎなのかなあ?

*1:かげろーの時も思ったけど、右近さんがますます痩せていてびっくりしたー!

*2:少なくとも、自分はそう感じられなかったです

*3:モデルはもちろん明白だけど、飽くまで架空の国ということで設定されているし

*4:史実を元にしているから、今作より説得力があるのは当たり前だけど